この間、予算がないが新築を建てたいとおっしゃるお客さんのお家の設計&見積もりを担当しました。
ん~…カナリ苦労しました^^;経験豊かな先輩にも手伝ってもらい、どういった部分で予算を落としたか、努力した部分を紹介したいと思います。
坪数を減らす
まずはこれ。会社はたいてい、自社で設定した坪単価の最低基準、最低の利益率というものがあります。これを達成していないと、社長・上司にツッコまれ、見積に印をもらえません。
坪単価の最低ラインがあるということはつまり、坪数を少なくするのが一番確実です。
坪数を少なくするには
・部屋数を減らす。
・部屋の面積を減らす。
・吹き抜けを作らない。
・収納を減らす。
・廊下を減らす。
・回り階段、折り返し階段にする。
・階段下にトイレや収納を確保する。
・引き戸にする。(ドアを開ける時のスペース削減)
吹き抜けは何もないので坪数に入らないと思いがちですが、施工面積には入ります。壁にクロスを貼ったり、上には屋根も付くので、お金は取られる部分なのです。他にも玄関ポーチなども施工面積としてお金は取ります。
いろいろ減らすばかりで若干憂鬱になりそうですが…
収納を減らした分、壁にニッチを付けて収納を確保したり、棚など造作で作ったり、金額を取らずに対応してもらえることもあるので相談してみましょう。
ニッチでも追加料金が発生するところ(ハウスメーカーさんは特に)もあるようなので、確認してみてください。
屋根面積を減らす
総2階にした方が安くなります。総2階というのは、1階の形と2階の形を揃えた家です。
これが左側が1階、右側が2階建て。これだと左側は1階部分にも屋根が必要になります。
1階、2階の形を揃えることで2階部分にしか屋根が必要なくなります。
2階建てより、平屋の方が安いように思う方も多いと思いますが、同じ床面積で平屋にすると、屋根面積はおよそ2倍になるのです。
屋根勾配を緩やかにする。軒の出、妻の出を少なくする。これも屋根面積が少なくなり、材料費、施工費が安くなります。見て分かると思いますが、外壁の面積も少なくなります。
屋根の形も下のような片流れが一番材料の無駄がない形です。
屋根勾配 緩やか…屋根面積・壁面積は小さい
屋根勾配 急…屋根面積・壁面積が大きい
住宅設備へのこだわりを捨てる
「ここのメーカーのものを使って欲しい」これに今回、悩まされました。指定されたメーカーは他のメーカーより仕入れ値が高いものだったのです。
工務店、建築会社にはそれぞれご贔屓にしているメーカーがあります。メーカーも発注が多い会社へは安く卸してくれます。
なので、ここの製品なら値段交渉しやすく、安く仕入れできるというものがあるはずです。発注ミスで会社に余っているものがあったりとか、展示品を安く譲ってもらえるということもあります。
年間の発注量がメーカーの仕入れ値にも関わってくるので、工務店、建築屋も、お住まいの地域で割と大きいところを選ぶと良いです。ハウスメーカーのように大きすぎる会社では値引交渉が難しいです。
壁、デッキ、床の塗装を自分でやる。漆喰壁もDIY
お義兄さんも壁やウッドデッキのペンキ塗りをしましたが、やはりそういう部分で安くするのも大切です。
ペンキや道具ははネットで安く手に入ります。
壁のペンキ塗り
お義兄さんのこちらの記事を参考にしてください。
・イマジンウォールペイントの口コミ@うちのペイント壁全部屋紹介
ウッドデッキのペンキ塗り
お義兄さんのこちらの記事では大変さが伝わります。
デッキの塗装は先週の記事を参考にしてみてください。木材保護塗料の有名どころを挙げてあります。
・ウッドデッキは天然木より人工木?メーカー比較。後悔のポイント。解決策も
漆喰壁も自分で作れる!
いま、漆喰壁も自分で作れるんです。
有名なのは(というか、私が知っているのは)ドイツ製のもの3社。ちゃんと業者さんも使っているものですが、これもネットで買えます。
クロス屋さんに専用の紙のクロスを貼ってもらい、その上に塗っていくだけで漆喰の壁が完成します。ちゃんと防臭・防カビの性能もあります。耐火性能のあるものもあります。シックハウスの心配もありません。
無垢のフローリングの塗装
あと、フローリングに無垢材を使いたい場合、無塗装の状態で引き渡し、床の塗装をする方もいます。ウッドデッキの回で紹介した木材保護塗料のうち、オスモカラーとリボスは使えます。
ペンキ塗りは大変ではありますが、子供にも手伝ってもらったりすると、良い記念にもなりますね^^
この前、奥さんと息子が棚にペンキを塗っていましたが、小さい子の目線で塗り残しを見つけてくれたり、年長さんでも結構役に立っていましたよ。
照明はネットや量販店を利用する
以前の記事(照明選び コストカットのポイント)でも触れているように、電気屋さん、インテリアショップなどで探してみると良いです。
お義兄さんはキッチン照明をネットで探したそうです。(キッチンのアイディア・仕様・照明とか)
自身で揃えるものは保証期間に注意してください。ウチのような良心的なところに頼めば、引き渡し前に設置してもらえ、不具合などもチェックできます。
エアコンも家電量販店を利用する
壁掛け型のごく一般的なエアコンの場合、住宅設備用のエアコンと家電量販店のエアコンでは、住宅設備用のエアコンの方が高いです。
基本的には違いがないと言われていますが、地域によっては塩害対策が必要だったり、寒冷地専用のエアコンもあり、量販店ではそこまで気遣ってもらえない可能性、取り扱いがない可能性もあります。
最近ではスマホで外出先からの操作ができるものも出てきたのですが、それも家電量販店では売られているのを見たことがありません。
そういった最新の機能、地域差などにこだわりがなければ家電量販店で買っても良いと思います。量販店とコラボした〇〇モデルなど、量販店独自の性能・機能を付けて他店・ネットとの差別化を図ったものもあるので、そのあたりはチェックすると良いと思います。
最近ではネットで買われる方もいます。保証内容だけ注意してください。
取り付けは、持ち込みを嫌がる設備業者さんもいるかもしれません。なので代理人さんを通して聞いてもらうと良いと思います。
設備屋さんは家電量販店で頼む下請け業者さんよりはたくさんの材料を持っているので、外部の配管カバーを壁の色に合わせてくれたり、置き場の融通をきかせてくれたりということが多少あると思います。
あと、注意したいのが外張り断熱の家や筋違が入っている部分に穴をあける場合。家電量販店の下請け業者さんはそういう事情を分からずにあけてしまうので、やはり設備業者さんに図面を見ながら設置してもらいたいです。後から付ける場合でも、図面を持って説明に伺うので、連絡が欲しい旨を伝えています。
家電量販店の下請け業者さんに頼んだら、うまく言いくるめられて、本来、付けたかった位置ではなく、外壁に面した場所に付けられた。という話は珍しくありません。外壁に面した場所の方が、工事が楽だし、配管などの材料費も安く済むからです。腕にも自信がないのかもしれません。
そういう噂を聞くので…と伝えれば、設備業者さんも持ち込みのエアコンでも快く引き受けてくれるんじゃないかな…と思います。
何社かに見積もりをお願いする
見積もりをしたお客さんは最後まで悩みに悩んだ挙句、違う工務店さんに決めたとのことでした f(^^;)
やはり一社だけでなく、色んな所に見積もりをお願いするというのも重要です。それぞれの見積もりを比べることで、安すぎる部分を疑うこともできますし、「こちらは△△が うんと安かったけれど…」と値引き交渉にも使えます。
保険の窓口のように、相談すると地域の建築会社を紹介してくれ、手数料ナシで相見積もりをお願いしてくれる会社も出てきました。そういった会社にお願いしてみても良いと思います。