今回は小屋梁。屋根の部分。小屋裏の部分のお話です。
チェックと言っても、下から見上げるくらいしかできないかもしれませんが、言えば見せてもらえます。
やはり、高いところですし、足場も危険なので、必ず一声かけてください。ヘルメットなどもお貸しします。
画像は「家づくりを応援する情報サイト」よりお借りしました。
小屋梁(こやばり)
平屋だと1階の管柱、2階建てだと通し柱と2階の管柱をおさえるように入れる梁です。
特に外壁周りの垂木のかかるものを軒桁(のきげた)と言います。
軒桁には垂木のかかる部分がキレイに納められるよう、一ヶ所ずつ斜めに削られていたり、全体的に斜めに削り取られています。(垂木欠き)下画像の一番手前の横に通った材料が軒桁。その軒桁の上側の少しくぼんで見えるのが垂木欠き。(軒桁の下側のくぼみは間柱の立つ部分です。)
床梁と比べると梁のサイズも小さく、小屋まわりの材料は狂いや歪みが多少出る、乾燥させていないグリーン材(⇔KD材・乾燥剤)を使うこともあります。
写真の一番手前、大工さんのおしりのあたりを横に通っているのが軒桁。ちょうど材料の継ぎ目も分かります。厚みのある梁に薄い方の材料を掛けるように繋ぎます。必ず、下に柱がいる場所で継ぎます。
火打ち梁(ひうちばり)
床梁編でも出てきましたが、小屋にも火打ち梁は入ります。やはり四角のグループを作り、4隅に入れるように配置します。
また、梁と梁を継手で繋いでいる部分に入れることも多いです。継手の部分は弱いので、強度を高めたいのです。ただ、継手と火打ち梁が重なり合うような位置は、弱い継手部分に荷重をかけることになるので避けます。
小屋裏にも合板を伏せる場合があり、その場合は火打ち梁がなくてもOKです。
小屋束(こやづか)
小屋梁の上に建つ小さな柱のような材料です。1820、2000ピッチごとに建てます。
上には母屋(もや)・棟木(むなぎ)が乗ってきます。2000ピッチ以上離れてしか建てられない場合は母屋・棟木の厚みを厚くして耐力を補います。
小屋束には”かすがい”という金物が付きます。『子はかすがい』でお馴染みのあの”かすがい”です。小屋束と梁を繋ぎとめるために使います。子も夫婦仲を繋ぎとめてくれるから、このことわざが生まれたんですね…
かすがいはホチキスの針をゴツくした形状のもの。それと同等のものとして、長方形のプレート状の金物を使う人もいます。
小屋束の下側は小屋梁と固定。上側は母屋、棟木と固定。基本は両面打ちなので、1本の小屋束につき、かすがいは合計4つ付きます。
母屋(もや)
小屋束を押さえるように入れる材料です。母屋が入ると屋根の形が見えてきます。
基本的に105角や120角。90角を使う場合もあります。下に小屋束が1820、2000ピッチで入りますが、それ以上空く場合、厚みの大きい材料を入れます。
軒桁同様、垂木欠きを付けます。
一番手前の横に通った材料が軒桁。軒桁と平行に奥に見えるのが母屋。
登り梁(のぼりばり)
小屋裏収納や、吹き抜け空間を作るため、小屋束を入れられない部分に屋根の勾配(こうばい)に沿って入れる材料です。
かすがいで留められた小屋束が並んだの次の列。勾配に沿って入っている厚みのある材料が登り梁。
棟木(むなぎ)
屋根の一番高い場所に入る材料です。この棟木を上げることが上棟(じょうとう)、棟上げ(むねあげ)と言います。
母屋と同じサイズ、105角、120角、もしくはもう少し厚みがある材料(120×150mmなど)を使います。
垂木(たるき)
棟木から母屋を通り軒桁まで(一般的には軒桁よりいくらか伸ばします)入れる細い材料です。
サイズは45角、55×45mm、45×90mm、60角など様々。この材料が入ると屋根の形がハッキリ現れます。上の画像では左端で取り付けているところです。
垂木は1本ものの材料を使うことは少なく、4M、3Mの材料を母屋の上で繋いで使います。棟の方では1Mくらいの短い材料になることもあります。303ピッチ、364ピッチ、455ピッチで入れます。
垂木を並べる前には小屋筋違(こやすじかい)または雲筋違(くもすじかい)を入れます。上写真の右側が見やすいです。母屋の下、小屋束に留められた斜めの板です。通りを合わせ、垂木を真っすぐ入れられるようになる重要な材料です。
野地板(のじいた)、野地合板(のじごうはん)
野地板、野地合板ともに垂木の上に乗せる板です。
屋根の下地であり、この材料の後にインシュレーションボード(板金屋根のみ・吸音効果のあるもの)→アスファルトルーフィングの防水シートと続きます。
野地板は長さは1820mm、幅は様々で150mmから30mm刻み。厚みは9mm、12mm。杉でできています。
合板は針葉樹をかつら剥きしたものを貼り合わせ、プレスして作られています。サイズは1820×910、厚みは12mm。
野地板や合板の長さ、1820mmは垂木のピッチとも関係があります。垂木のピッチは303ピッチ、364ピッチ、455ピッチ。303×6=1818≒1820、364×5=1820、455×4=1820となり、垂木から垂木までを切る手間なく、無駄なく野地板や合板を伏せられるのです。
チェックポイント(小屋梁編)
- 梁の継ぎ目の下に柱があるか
- 火打ち梁と梁の継手が接触していないか
- 小屋筋違が入っているか
- 小屋束1本につき”かすがい”などの金物が4つ付いているか
チェックポイントは小屋も腰まわり同様、金物のチェックが重要かと思います。
また近々、金物についての記事を書きたいと思います。(書きました!)