前回は床の構造を記事にしましたが、次はクレーン車が来て行う部分、柱や梁(はり)ぐみの部分を記事にしようと思います。
上棟は素人が見ていても面白いと思います。
しかし現場はピリピリ。時には罵声が飛び交います。とばっちりを受けないよう、注意して見学してください。
画像は「家づくりを応援する情報サイト」よりお借りしました。
柱(はしら)
土台の上に垂直に建つ木材です。小屋梁まで伸びている柱が通し柱(とおしばしら)。1階の土台から2階の床梁まで、2階の床梁から小屋梁まで伸びている柱が管柱(くだばしら)です。
樹種は桧(ひのき)、米松(べいまつ)、杉(すぎ)など。通し柱は120角以上、管柱は105角、120角です。
和室まわりなどは壁の中に隠れず、柱そのものが見えることが多く、役柱(やくばしら)と呼び、化粧材(きれいな柱)を使います。工事中、汚れないように紙が巻いてあります。
上棟が終わっても、長らく包まれたままです。なのでその柱に物が当たってえぐれたような跡があったら代理人さんに一声かけてください。柱は4面全部が見えるとも限らないので、セーフ…ということもあると思いますが、入れ替えるなら早い方が良いです。
間柱(まばしら)
柱と柱の間に建つ、薄い柱です。柱と同じ幅(105mm、120mm)で30mm、40mm、45mmなどの厚みがあります。
樹種は桧(ひのき)、米松(べいまつ)、杉(すぎ)、WW(ホワイトウッド)など。
壁にボードを張る時の下地、釘を打つ場所にもなります。なので、柱と同じ幅なのです。家が建った後、時計やフックを付ける時に、壁をコンコンと叩いて、柱の位置を確認すると思いますが、そういう時にも役に立つ材料です。
しかし、土壁の場合は入れません。
間柱には構造的な強度はなく、欠けていたり、配線を通すための穴が空いていたり、筋違の兼ね合いで10mmと薄い部分があったりもしますが問題ありません。
窓台(まどだい)・窓まぐさ
窓の付く部分の柱と柱の間に土台や梁と平行に入る材料です。窓台が下側、窓まぐさが上側。幅は柱と同じ幅の105mm、120mm。厚みは45mm、30mm。
樹種は間柱と同じ材料を使うことが多いです。
窓が小さくても、基本的には柱から柱まで窓台・窓まぐさは入ります。(間柱から間柱まででも問題はありません。)大きな窓が入るんだな~と思っていたら、窓台の半分くらいの大きさだった…ということもあるかもしれません。窓が入る部分は間柱が建てられませんが、窓台より下、窓まぐさより上には間柱が入ります。窓の入る部分の左右に隙間がある場合、方立(ほうだて)を建てて調整します。
梁(はり)
梁というのは管柱を押さえるように、土台に平行に入る材料のことです。
2階の床になる部分を床梁(ゆかばり)、屋根ぐみを支える部分を小屋梁(こやばり)と言います。
床梁でも外回りや内部でも通し柱に差すように通す梁は胴差(どうさし・どうざし)と言います。他にも床梁のことを腰まわり(こしまわり)小屋梁のことを小屋まわり(こやまわり)とも言います。
樹種としては桧(ひのき)、米松(べいまつ)、杉(すぎ)、RW(レッドウッド)などです。腰回りは特に歪み、狂い(伸縮)が少ないKD材と呼ばれる、乾燥させた材料を使う場合が多いです。
1階、2階の壁がくる(柱がある)部分に梁を伏せ、それを基準にタテヨコ様々な方向にはなりますが910ピッチ、1000ピッチで組みます。
梁は土台と違い、それぞれで厚みが違います。厚みの違いは下にどれだけ柱がいるか、上に柱がどれだけ乗るかによります。下に柱が多いと厚みは薄く、柱がいないと厚くなります。荷重によって使い分けるのです。梁の厚み(梁成・はりせいと言います)は120mmから30mm刻みで揃っています。120mm、150mm、180mm、210mm、240mm、270mm、300mm、330mm、360mm。
これを超えると原木から製材するのが困難なため、集成材といって、薄い板を貼り合わせて作った390mm、420mm~のものを使用します。貼り合わせたと聞くと荷重に弱い印象を持つかもしれませんが、逆に強度は増し、頑丈な梁になります。もっともっと強度を求める部分には材木を諦めて、鉄骨を入れます。
リビングはこんな感じ。縞模様に見える梁が集成材。
斜めに入っている薄く長い材料は仮筋(かりすじ)と言って、ゆくゆくは取り外す材料です。
梁の厚みはバラバラでも、上の面が揃えてあれば水平な床が張れるので問題ありません。しかし、あまり厚い材料を使うと、下の階の天井高が確保できなくなることがあります。
厚みに関しては工務店ごとに違いますが、梁の下の柱が2730mm離れている場合、厚みは210mm程度。(180mmでもセーフではあります。)910mm離れるごとに厚みは+30mm。上に柱が建つごとにも+30mm。あと、梁に梁が掛かることもあり、その場合にも+30mm。そんな感じで調整します。
広いリビングにはたいてい柱が少ないので、リビングの上には厚みのある梁が入っているか(300mm~)。あと、胴差は下に柱がいたとしても要(かなめ)になる梁なので、ある程度の厚み(180mm、210mm)があるかチェックした方が良いと思います。
筋違(すじかい)
土台、柱、梁で囲まれた部分、壁面に斜めに入る材料です。地震の揺れから家を守る、重要な部材です。間柱は欠けていたり、穴が空いていてもいいと言いましたが、筋違は良くありません。金物と当たって欠きとられていたり、節(枝があった跡)がポロっと取れるなど、穴が空いている物があれば指摘した方がいいです。
金物を使って筋違と柱をシッカリとビスで固定します。土台、梁にも固定するタイプの金物もあります。
樹種は米松(べいまつ)、杉(など)。歪み、狂いの少ないKD材(乾燥材)を使うことが多いです。
筋違を入れず、壁合板(ダイライトなど。厚みは9mm)を使用することもあります。
火打ち梁(ひうちばり)
火打ち梁は梁と梁を直角に保つために斜めに入れる材料です。火打ち土台は90×45mmという薄めの材料が一般的ですが、火打ち梁は90角、105角などが一般的です。両端を梁にボルトでシッカリ固定します。
やはり火打ち土台と同じように、四角のグループを作るように、四隅に配置します。通し柱のまわりは特に入れたい部分ですが、無理な場合も良くあります。階段がくる場所には入れません。吹き抜けの部分にも入れなかったり、化粧材と呼ばれるキレイに仕上げた火打ち梁を入れたりします。
火打ち土台と同じく、24mm、28mm合板を敷く場合は入れなくてもOKです。
上棟後のチェックポイント(柱、床梁編)
今回は腰まわりまでしか書けませんでした。小屋まわりはまた来週。
上棟後のチェック項目としては
- 紙の巻いてある柱・梁に物が当たったような跡がないか。
- 梁(胴差)がある程度ガッシリしているか。
- リビング(広い空間)の上部に太い梁が入っているか。
- 筋違に欠けたり穴が空いていないか。
- (合板がない場合)火打ち梁が入っているか。
あと、今の家にはたくさんの金物も使われます。金物のチェックも後々、記事にしなければなりませんね…
上棟では今回説明した柱、梁、火打ち梁は入れますが、建物の大きさによっては間柱、窓台・窓まぐさ、筋違まで納められないこともあります。いける時は全て納め、外回りにタイベックという透湿防水シートまで巻いてしまいます。
クレーン車のレンタル日数、大工さんの人数×日当を気にして、1日でやれるところまでやってしまいたい代理人ですが、記事作りはそうもいかないみたいです(^^;)