家を建てているとたくさんの材木が使われている事が分かると思います。
ということで今回から木造の在来工法の構造についてのお話をしようかと思います。
あの斜めの木はそのままでいいのか…?木が腐ったような色をしているけれど大丈夫?など、お施主さんが疑問に思う点や、工事中の現場をチェックするポイントなどをとりこみつつ記事にしていこうと思います。
チェック項目は一番最後にまとめておきます。
まずは床の構造。
画像は「家づくりを応援する情報サイト」よりお借りしました。
土台
土台と言えば一番重要でドッシリ構えた材料。もしくは基礎!というイメージがあるとは思いますが、“基礎”というのは鉄筋を入れたコンクリートで作った部分。
土台はその基礎の上に並べる材料のことです。主に105角、120角。梁(2階、3階の床部分に使う材料)と比べると貧弱な感じさえすると思います。
樹種としては桧(ひのき)、ヒバ、栗、米栂(べいつが)が使われることが多いです。湿気、シロアリから守るため、薬品を塗ります。だいだい色、黒色などから透明なものまで様々な色があり、ニオイも様々です。
特に米栂の場合、ポリデンという注入材で、材木に無数の切込みを入れて薬品を染み込ませてあり、モノによっては深緑の腐ったような色をしています。
基礎と土台の間には基礎パッキン(下画像の黒いもの)を敷き、通気性を良くします。
土台は基礎から伸びたアンカー(鉄筋のネジ)とボルトで固定します。(画像の土台の丸いくぼみのところ。)
(ゴールドの伸びたものはホールダウンといって基礎と柱を固定する金物です。)
土台は基本的に4M材なので、継手(つぎて)が作ってあり、つなげて使います。
継手の部分で土台の材料が上下に重なっていることが分かると思いますが、やはりつないである部分は弱い部分なので、その下に基礎があるかはチェックしてください。
あと、継手の上にきている側には土台を押さえるため、継手のすぐ近くに柱が建ちます。
柱が建つ前であれば、柱が入るほぞ穴(画像の土台の角にある長方形の穴)があります。それがない場合、基礎から伸びたアンカーボルトで押さえてあるかチェックすると良いと思います。
火打土台(ひうちどだい)
土台と土台を直角に保つため、斜めに入れる材料です。土台や大引きの幅と同じくらいの太さ(105~90mm)、厚みは薄いです。(45mm)薄いですが、地震の横揺れに重要な材料です。
なるべく四角のグループを作り、その4隅を固めるように入れます。
根太でなく床合板を使う場合、入っていなくてもOKです。火打土台がない場合は矩計図(かなばかりず・家の断面の詳細図)で床合板を伏せるか確認してみてください。もちろん代理人さんや大工さんに聞いてみても良いです。
あと、風呂、玄関など、床を張らない部分には入れません。隅なのに入っていない…という時はたいてい風呂ではないでしょうか。
大引き(おおびき)
土台の次に並べる材料です。土台の一つ小さいサイズ、105角、90角を使うのが一般的です。
樹種は桧(ひのき)、米松(べいまつ)など。
土台に掘り込みが入っており、土台の高さと同じ高さ(レベル)で納めます。和室の場合、畳の厚さを考慮して土台よりも低いレベルになっている事が多いです。910、1000mmピッチおきに入れ、上にのる床材を支える役目をします。
玄関、風呂は床を張らないので大引きは入れません。
根太(ねだ・ねた)
根太は大引きにクロスして入れる材料です。45角、45×55が一般的。303ピッチに並べます。この上に床を伏せます。
樹種は桧(ひのき)、米松。
根太を使わずに床合板を張る場合もあります。
床合板(ゆかごうはん)
床に敷く合板です。大引きの上に伏せます。根太を1本1本並べる手間がなく、地震による横揺れを面で支えます。最近主流になりつつあります。
厚みは24mm、28mm。合板の長手方向の側面に凹凸がある実付(さねつき)と凸凹がない実ナシ(さねなし)があります。
実付の場合、凸と凹(オスとメスと呼びます)をはめ込みながら伏せていきます。
実ナシの場合は隣り合う合板が上下にずれ、床鳴りの原因にもなるので、大引きと大引きの間に、下画像のようにマス目状に合板受けを入れます。
床の構造のチェックポイント
- 土台に防腐、防虫の薬品が塗られているか。(色が付いているか…透明なものでも塗られているのは分かります。)
- 土台の継手の下に基礎(コンクリート)があるか。
- 継手の上側の近くに柱・アンカーボルトがあるか。
- 火打ち土台が入っているか。入っていない場合、床合板を伏せるか。
- 大引きが910ピッチ、1000ピッチで入っているか。
- 根太が303ピッチで入っているか。もしくは床合板が張られているか。
- 床合板に実(さね)がない場合、合板の隣り合う部分の下に合板受けが入っているか。
今回は床の構造でした。土台までは建方(クレーン車を入れて構造、屋根材の下地までを完成させること)までに済ませます。
大引き、根太は建方が終わってから。合板の場合は建方前に入れてしまうこともあります。
床に使う材料はほぼ4M以内の材料です。この4Mというのはトラックに乗せ、運搬しやすい長さで原木の伐り出しから4Mということが多いのです。
値段も3M材、4M材はそこまで値段が変わらないのですが、5M材になると一気に高くなります。