先日、電機業者さんのセミナーを聞きに行き、住宅照明について考えさせられました。
そこの業者さんは、電機を開発・デザインしているにも関わらず、”照明を感じさせない家”を作ることを徹底しており、照明軍団のようなチームが、日々研究しています。その照明軍団が手掛けた店舗や住宅の照明を、比較写真などを使いながら分かりやすく教えていただきました。
照明を感じさせない家とは…
照明というのは暗くなった時にだけ必要なものであり、昼間には必要のないもの。それが目に入る場所についていたり、ぶら下がっているのはどうなのか…今まで、照明はあることが普通で、そんなこと考えたこともありませんでしたが…
でも、思い出してみてください。お店には、どんな照明が付いていますか…?ご飯屋さんにはテーブルごとにかわいらしい照明がついていることもありますが、他に気になるような視線の位置に照明なんてないですよね?引っ張る紐とか、チラつきませんよね?
お店はたいてい、ダウンライトを使っているからです。ダウンライトというのは、天井に埋め込んで使う照明です。丸くて、それほど大きくもない穴から発光して、全体を照らしているのです。
もう一つ、すっきり見せる照明があります。間接照明です。照明自体を見せず、壁や天井などに一度反射させる照明手法です。
これもホテルのエントランスなど、オシャレな場所にはつきものの照明です。
この写真は天井の隙間に、細長い電気を付けて、天井に光を反射させるタイプです。
この、ダウンライト、間接照明が、一般家庭にも普及しつつあります。
家庭への普及の理由
家の照明と言えば、少し前までは丸い輪っかの蛍光灯をはめ込んで使うものが主だったと思います。電気が切れたら、新しいものを電気屋で購入し、自身で付け替えていましたよね?切れたばかりの蛍光灯は熱を持っており、「熱っ!」っとなりながら、交換していたのではないでしょうか?
これが最近、LEDに変わったことで、寿命が一気に延び、照明器具は点かなくなったら電球交換するのではなく、器具交換するタイプに変わりました。これをキッカケに家庭にもダウンライトが普及するようになりました。
LEDに変わったことで、電気=熱を持つという常識も覆されました。間接照明などは照明自体を壁の中に組み込んだり、壁で囲ったりするので、熱がこもる心配もありましたが、それも発熱しないLEDのおかげで心配する必要がなくなりました。これも普及の理由です。
お義兄さんのフリーダムの家もほとんどダウンライト。寝室には間接照明があります。
ダウンライト・間接照明の注意すべき点
「ダウンライトを使ってください。」と言っても、慣れていない工務店や電気設備屋さんは「できません。」と言うことはないですが、少し戸惑うかもしれません。取り付け位置が普通の照明とは違い、施工もひと手間かかります。ぜひ、ネット検索を駆使して、施工例を見ながら、ダウンライトや間接照明に慣れているデザイン事務所、工務店を探してみてください。
ダウンライトは奥が深く、ただ部屋の真ん中に取り付ければ良いというものでもありません。
例えば、下写真のホテルのダウンライトは、商業施設なら均等に明るくてスッキリした印象なんですが、高級感に欠けます。
次のホテルの写真のように、影や光だまりを作った方が高級に見えるんです。こういう光と影の差…寝室などに作るととても品よく仕上がります。
……がっ!おそらく、この写真もあの照明軍団は良くない例として紹介すると思います!!!
まず、照明の感覚が一定でない。
手前の照明がコンセントを照らしている。
次の照明は消火器?のボックスを照らしている。
防犯上の都合などは置いておいて、こんなものにスポットを当てなくてイイ!
ドコ照らしとんねん!!と言ってくると思います。笑
住宅でも、インターホンや、エアコン、換気口など、ライトの近くにあると影ができるものがたくさんあります。
間接照明では、幕板の大きさや照明の取り付け方によっては、板の影(カットオフライン)が出てしまうこともあり、繊細な調整も必要です。
そういったものを気にかけて施工してくれる人はまだまだ少ないのが現状です。ダウンライトを使いたい時には、影を想像しながら、位置をご自身でも考えてみると良いと思います。